2013年3月25日月曜日
画狂老人卍
画狂老人卍、これは葛飾北斎が最晩年に用いた画号、いわばペンネームです。
写真はその頃に書かれた自画像です。
このエキセントリックな画号と画風に違わず、かなりブッ飛んだ人だったようです。
次かた次へと転居を繰り返し、人に挨拶はせず、お金には無頓着。
しかし絵に関してはまさに狂っているといえるような並ならぬ情熱を持っていたようです。
彼は88歳で亡くなったのですが、死ぬまで絵を書き続けたそうです。
年を重ねると老成とでもいいますか、長いキャリアに裏打ちされた揺るぎない自信が漲っているのではないかと思います。
しかし北斎はそうしたものとは無縁でした。
北斎は80代になってもなお「ガキの頃から絵を描いてきたけど80歳をこえてもまだ猫一匹まともに描けやしねえ!」と嘆き、本気で悔し涙を流していたそうです。
キャリアを重ねてえる自信はとても大切なものだと思います。
しかし成長を続けるためには自分を否定し、コンプレックスを持ち続けていくことが重要だと思います。
「ここまでやったからよい」という満足や「自分はできている」という自惚れは自身の成長を止めてしまいます。
そもそも音楽、絵画、芸術に「これでいい」というゴールはありません。
今まで積み上げてきたものをぶっ壊し続けていくような気概、今までの自分を殺すような鬼気迫る気概が必要なのではないでしょうか。
自分も「50年もギターを弾いてきたけど未だにCコードひとつまともに鳴らせねえ!」と本気で悔しがるような爺さんになりたいと思います。