2013年3月22日金曜日

老舗ライブハウス閉店にみるライブハウスビジネスの今後。


渋谷屋根裏が閉店するらしい。
バンドマン時代、下北沢の屋根裏は懇意にさせて頂いていたので、その系列店が閉店ということで少々ショッキングではあった。
その反面、老舗ライブハウスであっても閉店は免れないだろうということも感じた。

現在のライブハウスビジネスはオーディエンスではなく、出演者が顧客である場合がほとんどだ。
屋根裏の店長から聞いた話だが、バンド側もノルマさえ払えば出れるという意識のバンドが多く、レベルの低下が著しいらしい。
加えてかつてのバンドブームに乗じてライブハウスが増え、飽和しているとのこと

ここだけに注目すれば、ライブをやりたいというニーズはまだまだあり、ライブハウス同士で出演者の取り合いをしている状況と言える。
もしそうならばある程度ライブハウスが淘汰されれば、ライブハウスビジネス縮小は止まるはずだ。
はたしてそうなのか。

そもそもライブハウスの求心力は急速に落ちていると僕は思う。
現在、音楽の形態はバンドのみならず、コンピューターを使った打ち込み系のものも多い。またクラブ文化の台頭によりDJの人口もずいぶん増えたように思う。
屋根裏はロック、パンクの名門として名高い。それ故にバンド以外の演者を取り込むことができず経営に窮したのではないかと思う。
音楽ユーザーの数は減っていなくともその形態が多様化したため、バンド演奏に特化した雰囲気やブランディングを行ってきたライブハウスがその煽りを受けているのではないだろうか。

一方、カフェを併営しているライブハウスはいくぶん堅調に見える。
ライブハウスとカフェという2つのビジネスモデルがあるからだろう。
「食事がうまいライブハウス」ではなく「ライブも見られるカフェ」というブランディングをしている場所が生き残るのではないだろうか。

一方でバンドを受け入れる従来型のライブハウスも完全にはなくならないと思う。
「コピーバンド歓迎!」といったような完全に場所貸しに回った経営をするライブハウスは少数ながらも残るのではないだろうか。
このレベルまで自身を落とさず幕を引くライブハウスも当然でてくるだろう。
おそらくは渋谷屋根裏もそうであったと思う。

ともかくライブハウスビジネスは「カフェ型経営」と「場所貸し、演者レベル不問」の2極化が進むのではないだろうか。