2015年3月7日土曜日

レコーディング後記

先日、Acoustic Sound Organizationの麻生さんとウクレレデュオの作品のレコーディングを行った。
僕が伴奏、麻生さんがメロディーを担当したのだが、それぞれのパートの録音に丸一日使い、濃厚な仕上がりにすることができた。

昨今のコンピューターにはオートパンチインという機能があり、一人でもテイクを重ねての綿密な録音をすることができる。
しかし誰かに操作をお願いできるとかなり助かる。
加えて今までは二人でレコーディングを行った方が楽という認識くらいしかなかったのだが今回、二人で録音を行うことについて違う側面が見えてきた。

それは自分以外にもう一人、演奏の善し悪しを判断してくれる人間がいることの重要性だ。
レコーディングでは納得いくまで何度もテイクを重ねる。
独りでやっていると判断がつかなくなってしまうことも多々ある。
こんなものかなとさらっとやってしまったり、逆にもっといいテイクが録れるはずと延々とやってしまうかの両極端の思考に陥りやすい。
そこに客観的な視点で判断してくれる人間がいると、とてもバランスのとれたジャッジを下すことができる。
また自分とは違う判断基準でみてくれるので自分では気付かなかったポイントを洗い出すこともできる。

そしてディレクション役を務める側に回っても、気付くことがとても多かった。
上記に挙げたような客観的な視点での聴き方は常に音楽的な思考でいることを要求される。
リズム、音質、ニュアンス、演奏のすべての事象にアンテナを立て、その善し悪しを判断しなければならない。
上手くいっていない箇所があればその原因も突き止めなければいけない。
リズムの感じ方は?ピッキングの角度は?アーティキュレーションは?
様々なことを弾き手に提案しながら解決方法を探る。

二人一組で作品作りにがっつり取り組むことは本当に学びが多く、その学びが作品のクオリティーにも跳ね返ってくるように思う。
久しぶりの本番レコーディングであったが多くの気付きを得られた貴重な時間だった。
次のレコーディングも本当に楽しみだ。