2013年1月22日火曜日

ノーキャスターに見る乙な心

エレキギターを代表するモデルの一つ、テレキャスターは1950年に生まれました。当初はテレキャスターではなく、ブロードキャスターという商品名で売り出されました。
ところがこのブロードキャスターというネームはグレッチが先に商標登録をしており、名前を変えて売り出さなければ行けない事態となりました。

フェンダーは急遽、ブロードキャスターのデカールを剥がし、商品名のロゴがない状態で製造を続けました。1952年にテレキャスターの名前が冠されるまでこの商品ロゴがないギターの出荷は続けられました。このロゴ無しテレキャスターは俗にノーキャスターと呼ばれています。
ブロードキャスターはフェンダー社の調査不足、ノーキャスターに至っては作ってしまった部品を捌くための間に合わせ処置です。
しかしブロードキャスターのデカールが張られたモデルとノーキャスターは一般のビンテージテレキャスターよりも生産本数が少なく、レアなものとして取引されているらしいのです。

現行品のものとは違う、あるいは少しいびつなものの方が面白くて良い、そういった心持ちでこれらのモデルは人気を得ているのではないでしょうか。
作られてから60年間弾き込まれたであろうこの楽器は得も言われぬ貫禄を持ってせまってきますが、グレッチに先をこされ銘が打たれていないという点が一笑を誘います。

この乙なギター、一度鳴らしてみたいものです。