2017年3月31日金曜日

Baby’s In Blackのコーラスワークの分析でわかってきたこと



後輩ギタリストの黒崎くんとギター演奏の動画を撮ろうということでBaby’s In Blackのアレンジをしております。

メロディーは僕が弾くのですが、実は昔からこの曲のメロディーをどう表現しようかと構想しておりまして今回やっと実行に移します!
というのもこの曲の魅力はやはりジョンとポールの二人のコーラスワークだからです。

ビートルズのベストボーカルハーモニーは?というとそれぞれご意見があると思いますが、僕の中ではBaby’s In Blackがそれの一つです。

ビートルズのコーラス、特に初期においてはジョンとポール、どちらがメインかわからない、あるいは場所によって前に浮かび上がってくる声が違うというのが聴きどころになってくるのではないかと思います。
つまりジョンの声がメインに聴こえたかと思うと、次の瞬間にはポールの声がふっと前に出てきたり、AメロとBメロで主役の声が交代したりなどです。

このBaby’s In Blackはまさにその典型でジョンとポールの絶妙なハモリを聴くことができます。
そういえばポールがこの曲のメインの旋律はどちらかとインタビューされた際、「両方」答えていますね。

それぞれのボーカルラインを拾って重ねていくわけですが、やはり面白いです。
ずっと3度で寄り添っていくわけでなく、たまにポールがステイしていたり。
この辺の機微がボーカルの主役が入れ替わって聴こえる要因かなと思います。

またポールがよくコードの7thの音を取ってますね。
キーに沿っていくならばメジャー7thを歌うべきところで半音下の7thを歌っています。
これによってトータルのハーモニーが7thコードになっています。
この場合はモードが変わったというよりもブルーズフィーリングになっていると言った方が聴こえ方的にしっくりくるかもしれません。
ブルーズでよく使われる7thコードのハーモニーを使うことによってメロウなバラードにブルージーな少しコクのある雰囲気を付け加えているんですね。

ちなみにコードを弾いているジョンはこの7thのハーモニーの箇所でもD7やA7を弾かずに普通のDやAを弾いています。
映像でも確認できます。
ビートルズはこれをよくやるんですが、コーラスでテンションの音を取っていてもコードはそのまま。
例えばコードAでBの音をコーラスでとっていてもコードはAのままです。
ジャズなんかだとA9thとかを引くところですが、ビートルズはシンプルなコーラスのまま。

コード自体の響きはわかりやすいシンプルなもの。
対してボーカルのハーモニーは時にテンションノートも絡む複雑なもの。
この対比がこれがビートルズサウンドの秘密の一つだと思っています。
楽器の代わりに声でオーケストレーションしているといえますね。

シンプルなコードでポップさを、コーラスワークで深みを、ということですね。
少しづつBaby’s In Blackの秘密が明らかになってきました。
アレンジの追い込みが楽しみですね!