生まれ故郷の隣町である愛知県一宮市にあったライブバーSonic Brewのマスターが先日亡くなった。
そのライブバー、通称ソニックは僕が初めて出入りしたステージがあるお店であった。
ソニック自体はもう10年ほど前に閉店してしまったのだが、当時高校生だった僕は足しげに通い10歳以上年上の先輩ミュージシャンやそのお店の常連の方々に可愛がってもらっていた。
その亡くなったマスターを偲ぶミニライブが同じ商店街のお店で開かれるということで僕も演奏に伺った。
ソニックは高校生の僕にはとても新鮮な世界で毎週末のように通っては朝までいた。
もう時効だろうから書くが、今思うとよくいさせてくれたなと思う。
マスター曰く「だって音楽やりたいっていってきてんだからしょうがないじゃん」
この軽いノリで、ともすると営業停止とか厳重注意とかになるのを気にもかけずに、店にいさせてくれたのは感謝しかない。
地元から離れた後、帰省の折に顔を出すととても喜んでくれた。
「こいつもうち出身のミュージシャンでさあ~」と得意げに常連さんに語るマスターの声はいまだによく覚えている。
さて今回は一宮の三八屋さんにてオーナーご夫妻とソニックゆかりのミュージシャン方で立ち上げてくださった企画。
演奏はもちろん気合を入れてしたけれども(いついかなる時も気合が足らないプレーをするとマスターは怒った)望外にみなさんに喜んでもらえて嬉しかった。
そして何より感じ入ったのは10代の頃に何度も通った一宮の夜、ソニックブリューの夜をまた味わえたことだ。
ソニック閉店後、僕はホームを失くしたようなもので、一宮に来る機会もあまり多くなかった。
懇意にさせていただいてる楽器屋さんはあれど、夜の一宮を味わおうとするとやはりバーでなければいけない。
結構ノスタルジーな性分なので、あのなんとも入りにくい2枚もの扉を開けた先の空気を僕はまた感じたかったのだ。
そこは-少なくとも10代の僕にとって-不思議とさえ言える体験を数多くくれた場所だったのだから。
けれどもまた、三八屋さんおかげで一宮に訪れることができそうだ。
ノスタルジーとともにではなく現在の音楽家の自分として。
それは何よりもマスターでの手向けになるのではないかと思う。
以上お読みいただきありがとうございました。
最後に今回企画をしてくださった三八屋さん、先輩ミュージシャン各位、当日来店してくれたみなさん、本当にありがとうございます。
ソニックブリューとマスターが本当に一宮の皆さんに愛されていたんだなと心から嬉しく思いました。また一宮の街と関われる機会が増えることが楽しみでなりません。