2019年11月1日金曜日
人は音を聴く前に音を聴いている。
人は音を聴く前に音を聴いている。
師匠から稽古の折に授かった言葉です。
これは人の音の感じ方、音楽という現象についてのことです。
ではこれは一体どいういう意味なのか説明していきたいと思います。
音楽は時間とともに発現していくものなので、演奏あるいは再生される音を、人は順に聴いていき音楽として認識していくわけです。
この時に全く場当たり的に音を聴いているのかというとそれは違います。
リズム、メロディー、ハーモニーそれぞれの面から次に聴こえて来るであろう音をある程度予測しながら聴いているのです。
音には力学があります。
次にこの音程に向かいたい、このハーモニーに向かいたい、このリズム、このタイミングで鳴りたい。
次の音への欲求を一つ一つの音が発信しています。
人はこうした音の力学を感じながら音楽を聴いています。
音楽的経験がない人でも無意識のうちに感じているはずです。
人は音を聴く前に音を聴いているとはこのことです。
音の力学を感じ、次の音への予測と期待を以って耳で聴く前に頭の中で次の音を感じているのです。
音の力学は音自身のいわば声だと僕は思います。
その声を聴きながら判断していくことができれば最高の作曲や演奏ができるのではないでしょうか。
また先人の言葉
「Play the NOTE!」 Miles Davis
「演奏してる時は常にリスナーとして音楽と向き合っている」 Pat Metheny
これらの言葉の意味も師匠の言葉を通じてわかったように思います。
音自身の声を正確に汲み取るのは並々ならぬ修練と経験が必要だとは思いますが弛まぬ努力を続けていく所存です!